視聴覚教育について

私の専攻は視聴覚教育で、指導の現場で、教育効果を上げるにはどのような手段と方法が最も適切かを 深く突っ込んで2年半研究しました。 当時の日本では効果的な教育法や学習法は殆ど研究されておらず、教えるには教室と、 黒板と先生と言う従来型の考えが中心でした。

しかし米国の教育機関では、教育効果を最大限に上げるためには指導者が常に工夫をこらし、 指導に対して、あらゆる角度から有効な手段を創造しなければならないと言う議論が盛んに行われていました。 その一環として、視覚材料や聴覚教材を利用した教育が現場にどしどし取り入れられていました。 その上、学習者の能力、生活環境、心理的、社会的な背景など多方面から指導法の研究がなされ 個人の才能を引き出すための教育が重要視されていました。 教育は一方通行でなく常に指導者と学習者がインターアクション(双方向対話)により行われることが 教育現場では基本です。 学習者が授業中に何らかの疑問を感じたり、聞きたいことがあったり、理解できない点があれば 即座に先生に聞くことができるオープンな雰囲気や環境を常に準備しておくことが指導者の 本来の役割であると言う考えが定着しています。

しかし、我国の教育の歴史にはかような哲学は残念ながら、あまりにも希薄で押しつけ教育(一方通行)に 等しい方法がまかり通ってはいないでしょうか。 その結果試験問題を解く方法にはたけていても、創造する能力、他人と議論する能力、 独創的な考え方等を自分の力で導き出すことができる人材の育成にはつながっていかないのが現実です。

1960年代のアメリカでは、すでに効果的な指導を施すために色々な小道具が教育現場に採用されていたのです。 その主なもを列挙します

  1. 絵図、写真、グラフ等をふんだんに使用して視覚に訴える指導
  2. 大型コンピュータによるCAI(computer assisted instruction)
  3. OHP(overhead projector)やスライドを利用した視覚と聴覚による指導
  4. 撮影用カメラを利用した直接教育
  5. CATV(ケーブルテレビ)を通じた遠隔教育
  6. 小人数(5-6人)による指導
  7. 能力別に分けたクラス
  8. チーム(2人の先生)による個別指導
  9. 学内にソーシャルワーカー常駐
  10. 心理カウンセラーの常駐

これらは米国で今から40年前にはすでに始まっていたわけです。

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