下宿先での出来事
留学して一年後、大学の紹介でキャンパスの近くで一部屋を借りることになり生活もだいぶ慣れ、 寮とは違った静かな学生生活を夢見ていました。
しかし、そこのランドロード(主人)はとても気さくな方でしたが、学校から帰ったある日のこと、 話したいことがあるというのでラウンジに呼び出されエヤコン (air conditioning)を余り使ってもらっては困る、何時までも夜遅くまで電気(明かり)を使うのは困る、 その上タイプライターは音がうるさいので使用禁止などを言い渡されてしまったことがあります。 そのことを大学のHousing Office(下宿、部屋を紹介する所)と相談したのですが 学校側としては家主の考えなのでどうにも出来ないと言うことになり諦めざるを得ませんでした。
それから数日後、学校から帰り、下宿先の玄関先に着いた途端、見覚えのある荷物が積んであるのを見て呆然と立ちすくみました。 なんと私はそこの部屋から荷物もろとも追い出されていたのです。 すぐさま担当教授の家に行き事情を話して、とりあえず自分の荷物を教授宅に置かせてもらうことにしたのです。
後で聞いた話ですが、そこの主人は学生が毎日遅くまで勉強しているのでエヤコンや電灯代がかさむのを 好まなかったのが原因であると聞かされました。 先ず、自分の主張を通し、他人の想いやりに欠ける行動は、さすが人間を長年にわたり奴隷扱いした風習の名残かなと 当時は考えたものです。